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”◆予防接種副作用での訴訟や死亡事故…ワクチン接種は危険?
2011年3月、Hibワクチン、肺炎球菌ワクチンを含む予防接種後の死亡例が報告され、ワクチン接種が一時中止されました(現在はすでに再開されています)。ワクチンとの明確な因果関係は認められないという結論が発表されましたが、これから予防接種を予定されている方は不安を感じるかもしれません。これから予定している予防接種は受けずに、病気になってしまった場合に考えよう、という方もいるかもしれません。ワクチンを受けるべきか、やめるべきか、冷静な判断ができるよう、ワクチンの副作用と、ワクチンを受ける意味、ワクチンを受けない場合のリスクについて、基本的なことを理解しておきましょう。
◆予防接種を受けないリスク…病気感染による後遺症・死亡例
まず、「ワクチンを受けない」という選択についてですが、これは医療者としては非常に感染するリスク、感染させるリスク、感染して重症化したり、重篤な後遺症を残すリスクを無視した考えではないかと感じます。副作用のリスクを理解することはもちろん大切ですが、受けるリスクと同じように、受けなかった場合のリスクの高さを冷静に考えなければなりません。
もちろん、ワクチンは医薬品で、他の薬と同じように、副作用・副反応を完全に0にすることはできないという事実は知っておかなくてはなりません。100%予防効果があり、副作用リスクがゼロのワクチンがあれば理想ですが、副作用の確率がごくごくわずかなワクチンであっても、多くの人に接種すれば個々人で反応が異なる可能性は残ります。薬がすべての人に同じだけ効くとは限らないように、全人類の体質に同じように適した万能のワクチンというのもないのです。
◆ワクチンの副作用・副反応は? 予防接種のリスク
予防接種後の副作用として多いのはワクチンによって異なりますが、多いのは接種部位の腫れや赤くなったり、しこりができたりすることです。不活化ワクチンの方が腫れやすくなります。全身症状としては、発熱、不機嫌、眠くなるなどの副作用が見られます。◆そもそも「何のために予防接種を受けるのか」?
予防接種とは、その名の通り、病気を予防するために行う医療行為です。主に深刻な感染症予防のために行われ、感染症にかかるリスクを大幅に下げることを目的としています。細菌やウイルス、カビなどが体に侵入すると、例えば、肺に入ると炎症を起こし、呼吸をしにくくしたり、髄膜に侵入すると、痙攣を起こして、脳へのダメージが起こり、体が正常に機能しなくなってしまいます。ヒトからヒトに感染する病原体をワクチンを使わず野放しにすることは、社会的にも非常に大きなリスクなのです。
感染力や罹患率、致命率が高い天然痘を例として挙げると、世界保健機構(WHO)では1958 年世界天然痘根絶計画が立てられました。その当時、世界で発生数は推定で約2,000 万人、死亡数は400万人でした。ワクチンの接種率を上げるとともに、天然痘の患者を見つけ出し、患者周辺に天然痘ワクチン(種痘)を行って天然痘を封じ込めることで、1977年ソマリアにおける患者発生を最後に地球上から天然痘はなくなり、その後、1980年5月にWHOは天然痘の世界根絶宣言をしました。
ワクチンによって、病原体を無くすことができるのです。
◆予防接種を受けない人が増えると大流行のリスクもあがる
天然痘や麻疹、風疹、おたふく風邪など治療薬がない病気に罹った場合、病原体に対して自分の免疫力だけで抵抗しなくてはなりません。予防接種では、弱めた病原体の全部または一部を体に入れて、免疫細胞に記憶させます。病原体を一度少しだけ侵入させることで免疫がつき、その病気に罹りにくくなります。また、病原体の感染力や病気を起こす力を弱めているため、安心して使用出来るようになってはいるものの、生ワクチンであるため軽い症状を起こすこともあります。もちろん、細菌に対する抗生物質はありますが、最近では抗生剤が効かない細菌も増えているため、ワクチンがより大切になってくるのです。
感染症の中でも、一緒にいるだけで感染する感染症は、大流行しやすく危険です。麻疹の場合は空気感染しますので、1人が発症すると周りの10人が感染、インフルエンザの場合は飛沫感染しますので、1人から2~3人に感染すると言われています。このような病原体の場合は、自分だけでなく、周りへの影響を減らすためにもワクチンが大切なのです。
副作用の少ないワクチンを、任意接種ではなく全て定期接種で行っていくのが、ワクチン接種の最終的な理想形でしょう。そして、ごく少数とはいえ、起きうる万が一の副作用に対しては手厚い基金を作り、速やかに広く救済する制度も求められます。定期接種での副作用の救済ですら、非常に時間がかかってしまっているのが現状なのです。
そして、副作用などの情報をしっかりと公開し、接種する側もワクチンについての正しい知識をできる限り冷静に得ること。ワクチンの必要性は一人一人が考えていかなければならない問題なのです。
最後に、私は小児科医として日々ワクチン接種も含めた小児対応を行っておりますが、自分の子供にはその当時できるワクチンはすべてしてきました。余談ですが、3種混合ワクチンの集団接種会場で水痘に感染してしまったため、水痘ワクチンだけはしていません。医師としての経験も含め、私自身は親として子供の病気を防ぐことができるなら、できる時にしてあげたいと考えています。”
最近では風疹の流行によりワクチン接種が勧められていたり、インフルエンザの流行に備えてワクチンの接種が勧められています。
確かにワクチンの接種による副作用が出てしまう可能性もあります。
しかし、ワクチンを打った時の副作用のリスクと、打たずに感染してしまった場合のリスクを考えた時に、受けた方が症状は軽く済みます。
副作用について知らないのは怖いことです。副作用についてもしっかり説明を受けた上でワクチンの接種をしましょう。そして、それにより副作用や体調不良など起こった場合もすぐに主治医をはじめ医療スタッフに相談してください。