Information最新情報
自宅や施設でマッサージの施術を受ける医療保険適用の「訪問マッサージ」の活用が注目を集めています。
「さあ、5秒間立ちましょう」
「今日はずいぶん動きがいいですね」
千葉市の民家で施術師の山本伸夫さん(42)が、この家に住む男性(76)に声をかけながらマッサージを続けています。男性は15年前に脳出血で倒れ、右半身のまひと言語障害が残り、自宅で妻(73)が介護を担っています。
山本さんを派遣するのは綜合警備保障(ALSOK)グループで訪問医療マッサージを提供するケアプラス(東京)。
男性は病院を出て自宅介護が始まった時、ケアマネジャーから訪問マッサージを勧められ、これまで週1回のペースで約14年間利用を続けています。医師の同意書に基づき健康保険治療が認められ、費用は1回数百円で済むといいます。
妻によると、退院後は寝返りも打てずほぼ寝たきりでしたが、訪問する施術師のアドバイスを基に毎日リハビリを重ねたところ、今では自力で車いすに乗り、日中は体を起こして座位で過ごす時間が長くなったそうです。妻は「訪問してもらう日は体を動かすので疲れてぐっすり眠れている」と話しています。
このように自宅にいながら保険適用での訪問マッサージを利用する方が増えています。「筋まひ」「関節拘縮」といった症状の治療が対象で、脳血管疾患や骨折の後遺症のある人のほか、変形性関節症やパーキンソン病、小児脳性まひなどで治療を受ける方もおり、また、介護保険と併用できるため、高齢者の利用が多いと言います。
訪問マッサージを受ける場合、医師の「同意書」が必要です。要介護認定を受けている方で訪問マッサージを希望する場合は、まずはケアマネジャーに相談をしてみましょう。訪問マッサージのほかに、はり・きゅうの施術を保険診療で受けることもできます。
保険診療で訪問マッサージを受ける方は外出が難しい状態で、身体機能は低いと言われています。継続的にマッサージを受けても効果は症状の現状維持か悪化を食い止める程度にとどまることが多いですが、劇的な改善が見込める方もいらっしゃいます。
日本訪問マッサージ協会の藤井宏和代表は「心がふさぎがちになる在宅治療の生活で、ご本人や介護する家族と定期的にコミュニケーションを取り、前向きな気持ちになる手伝いができる意義は大きい」と話しています。
(引用URL:https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190314-00000010-nikkeisty-hlth&p=1)