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スマートフォンやパソコンので手軽に医療情報を調べることができる現代。その弊害とも呼ばれることが、子育てで話題となっています。
先日、私のクリニックに男の子を連れたお母さんが来ました。ある病気を心配して、受診したといいます。
「子どもの症状をネットで調べたら、ほとんどが心配ないと書いてありますが、深刻な病気が隠れている場合があるというものがあって、不安で受診しました」。
お子さんに気になることがあった際に、インターネットで情報収集し、同じような気持ちになったことのある人は多いのではないでしょうか。
今回のお子さんは幸い深刻な病気ではありませんでした。受診につながったという意味では良かったですが、ネットの情報が過度に本人とご家族を不安にさせました。
逆に、本来なら病院を受診したり専門家に確かめたりするべきものなのに、間違った情報を得たばかりに不利益が生じることもあります。
たとえば、皮膚を通じて体内に毒がたまるという「経皮毒」という言葉を見かけることがありますが、医学用語ではありません。ある薬学博士が提唱した考えで、紙おむつの合成界面活性剤が経皮毒となりかぶれを起こすというように使われていましたが、そんなことはありません。
また、おむつかぶれは、排泄物によってふやけた肌に、うんちに含まれる酵素や細菌、おしっこに含まれる尿素やアンモニアによる刺激が原因となって起こるのであって、合成界面活性剤は関係ありません。
むしろ、布おむつの方が蒸れるので、実際におむつかぶれのひどい患者さんには紙おむつにしてもらいます。「紙おむつや紙ナプキンを皮膚や粘膜にあてると、悪いものを吸収してしまう」、「子宮に悪いものがたまって冷える」というのもデマです。
何でも調べられる便利な時代ではありますが、その分本当ではない情報もたくさん流れています。
これは子育てだけではなく大人にも言えることです。本当にその情報が正しいのか、改めて考えることか大切です。不安になったら医師や看護師などに相談してみましょう。
(引用・参考URL:
https://www.asahi.com/sp/articles/SDI201904041612.html?iref=sp_ss_date)