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先日、認知症の当事者団体「日本認知症本人ワーキンググループ」(JDWG)は厚生労働省を訪問し、根本大臣、大口副大臣と面会しました。政府の認知症の政策大綱が今年5月頃にまとめられるのに向けて、意見交換の場が設けられたのです。
JDWG側の参加者は、男女4人。最年長は、長野県上田市の元教員、春原(すのはら)治子さん(76)。年齢だけでなく、住んでいる地域や職業なども様々でした。
最初に根本大臣から、「認知症があっても、地域で普通に生活していける『認知症バリアフリー』な社会を目指したい。率直な意見や思いを伺って、よい内容の政策大綱を一緒に作っていきたい」という話がありました。JDWGからはまず、代表理事の藤田和子さん(57)が、「(政策大綱を)誰のために作るかを考えて、ぜひ当事者の視点を生かしてほしい。希望のリレーをつないでいくために、一緒に頑張りたい」と答えました。
東京都品川区の柿下秋男さん(65)は、1976年のモントリオール五輪にボートで出場したトップアスリートです。その柿下さんと私の共通の夢が、来年の東京オリンピック・パラリンピックの聖火ランナーとして走ること。私たちがそう話すと、根本大臣はハッとした表情になり、「それはいい! すごくいいですね!」と、賛同してくれました。
もしかしたら大臣も、認知症の人が聖火リレーに参加するなんて、今までは考えたこともなかったのかもしれません。
認知症の予防だけでなく、認知症になってしまったときにどうやって生きていくかということを考えるのも大切です。最近、安倍総理も国会で「予防」を繰り返し強調しています。ただ、予防が全てのようにとらえられると、予防に励んでいた人が認知症になってしまった時、「もうおしまいだ」と絶望してしまうんじゃないかと思います。ですから、「災害は止めることはできないけれど、食料や燃料を確保しておくなど、備えることはできる。認知症も、なってしまった時にどう生きるかを考えておくことが大切なのではないでしょうか」と、話し合いました。
30分ほどにわたり、私たちがそれぞれの考えを語る間、根本大臣は何度も驚いたような表情を浮かべ、「目からウロコだ」と話していました。
(引用URL:https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20190325-OYTET50031/?catname=column_tanno45)
医療従事者やご家族よりも、認知症の方ご本人の意見がこの社会を変えるきっかけとなります。この意見交換の場が発端となり、ますます暮らしやすい日本に変わっていくと良いですね。