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競泳女子の池江 璃花子 選手(18)が白血病であることを公表したことをきっかけに、子どもの白血病にも注目が寄せられています。白血病は子どものがんの約4割を占め、「不治の病」というイメージもあった病気ですが、治療の進歩で完治も見込めるようになりつつあります。
白血病は、骨髄でがん化した血液細胞(白血病細胞)が増殖し、正常な血液細胞が作れなくなる病気です。週~月単位で症状が進む「急性」と、年単位でゆっくり進行する「慢性」があり、さらに細胞のタイプで「リンパ性」と「骨髄性」に分かれます。
国立がん研究センターによると、0~15歳未満の場合、急性リンパ性(約70%)と急性骨髄性(約25%)が大半を占め、慢性はごくわずか。別のデータでは15~29歳も、急性リンパ性(約40%)と急性骨髄性(約30%)で約7割を占めます。急性リンパ性は2~5歳の発症が多く、年約500人の子どもが患者になる。急性骨髄性も幼児を中心に年約180人とされています。
白血病細胞が異常に増えると、外敵から身を守る白血球、酸素を運ぶ赤血球、出血を止める血小板など、正常な血液細胞が作れなくなります。また、発熱や貧血、出血のほか、体がだるく感じるなどの症状が出ます。
診断するには、まず血液検査で白血球や赤血球などの増減を調べ、ここで異常が見つかれば、腰の骨に針を刺し、骨髄液を取る骨髄検査で病気のタイプをみます。痛いので子どもには全身麻酔をかけて行います。
急性白血病の場合、複数の抗がん剤を組み合わせて投与する化学療法が基本となります。慢性白血病は、がんを狙い撃つ「グリベック」などの分子標的薬を使った治療が有効とされています。
治療で効果が十分でなかったり、再発したりした時は、造血幹細胞移植を検討します。血液細胞の元となる造血幹細胞を健康なドナー(提供者)の骨髄などから採取し、患者に点滴で注射する治療法です。
治療期間は、標準的な化学療法の場合、急性リンパ性は外来治療を含めて2年~2年半、急性骨髄性は半年~1年ほどかかります。抗がん剤の組み合わせなどは、長年の研究により、効果の高い方法が見つかっています。
大阪母子医療センター血液・腫瘍科主任部長の井上雅美さんは「子どもの顔色が悪かったり、発熱が長引いたりする時は、医療機関を受診して血液検査を受けてほしい」と呼びかけています。
その上で、「適切な治療を受ければ、子どもの白血病の多くは治せる時代になってきている。主治医の説明を聞いて、病気についてよく理解し、落ち着いて治療に臨んでほしい」と話しています。