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千葉県柏市では、東京大とカナミックネットワーク(東京都渋谷区)により開発された、ICTを活用した在宅医療と介護の情報連携システムを運営しています。ネットワークに参加する事業所は年々増え、2018年度で382事業所に上ります。参加者からは患者・介護サービス利用者に関する有用な情報が得られたという反応がある一方で、「電話やFAXで十分連携できている」ことからシステム利用に消極的な専門職も相当数いるといいます。
クラウド上で職種・事業者を超えて患者の情報をリアルタイムで共有する同市の「カシワニネット」は、12年度から13年度までは東京大学が運用主体として同市で多職種による試行WGを設置し、システム構築を進めてきました。この試行期間を経て、14年度からは柏市が実施主体となり、本格運用を開始しています。
ID登録者数は年々増加を続け、18年度時点で382事業所の1513人。職種別では介護支援専門員(ケアマネジャー)が296人、看護師が258人、介護職217人、薬剤師116人などの順で多く、医師は62人だったといいます(19年3月時点)。17~19日に開催された国際モダンホスピタルショウ内のパネルディスカッションで、同市の保健福祉部地域医療推進課の浅野美穂子専門監が発表しました。
浅野専門監は、システムを利用した専門職から「デイサービスでの様子を知れて、薬の選択やコントロールに役立てた」(医師)、「病状による生活上の注意点が確認できた」(ケアマネジャー)などの意見があったことを紹介しました。一方で、同市が実施したアンケートで「使いづらい理由」を問うと、上位には「書き込む時間が取れない」「パソコンが苦手」「電話やFAXで十分対応できる」などの意見がありました。
柏市では、「まず、ICTの活用に慣れてもらうことが重要」との判断から、同じ職種間での情報共有ができる機能の活用を職能団体に呼び掛けています。このほかの課題として「一番気になっているのが『どう業務に生かせばよいか分からない』という意見が一定数あったこと」だといいます。市では、ターミナル期の患者や、褥瘡のある患者など具体的な利用場面を関連職種に対して伝えることで、ネットワークへの参加を働き掛けています。
(引用URL:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190724-17500000-cbn-soci)
タイムリーな共有ができるICTですが、本格的な導入にはまだまだ時間が掛かりそうです。スムーズな連携を行うためにも、私たち医療機関も学びながら運用に慣れることも大切なのでは、と考えさせられます。