がん専門医はユーチューバー 治療解説や講演会を公開

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がん専門医はユーチューバー 治療解説や講演会を公開
2019/05/09

SNSが盛んになる一方、治療法やワクチン、食べ物についてフェイク(偽り)ニュースが多くなっており、消費者の私たちにとっても、どの情報が正しいのか不安になることが多いのではないでしょうか。

 

そんな現状を打開しようと、腫瘍(しゅよう)内科医の押川勝太郎さんは、主治医とは別に治療や診断についてがん患者や家族にアドバイスする「セカンドオピニオン」や治療解説をした動画を配信しています。

 

公開した動画はこの2年間で180本。時に旅先でも動画を撮影する、その熱意の源とは一体なんでしょうか。

 

――これまでに人気のあったのはどんな動画ですか。

「がん治療に、玄米療法と糖質制限食は危険だ!!『がん治療における食事療法の落とし穴』partⅡ」というものです。再生回数は3万回にのぼりました。玄米療法と糖質制限、いずれの食事療法とも、科学的裏付けが乏しいことを指摘しました。がん患者にとって食事制限などせず、体重や筋力を維持して抗がん剤治療に耐えられる体を保つ大切さを訴える内容です。

・<がん治療に、玄米療法と糖質制限食は危険だ!!「がん治療における食事療法の落とし穴」part II>(https://youtu.be/4pzyFNEACxU別ウインドウで開きます

 

――どんな反応がありましたか。

ふつうは、9割ぐらいが「いいね」の反応ですが、この動画は4割ぐらいから「よくないね」ボタンが押されました。安易ながん食事療法を信頼する人が多いためかもしれません。「このような医者がいるから治らないんですね」「あんた自分ががんになってみろ」などといったコメントもありましたね。こうした一般と専門家の認識の違いなどについて、今年3月に日本胃癌(がん)学会のセッションで発表させてもらいました。このほかにも、抗がん剤治療や、膵(すい)がん手術をテーマにした動画が1万~2万回の再生回数を数えました。

 

――そもそも、ユーチューブではどんな活動をしているのでしょうか。

 

私はセカンドオピニオン講演会を月1回、東京都内で開いています。患者や家族はもとより、がんや医療とはまったく関係のない人でも参加できます。この様子を動画で公開しています。

講演会の日程は事前に私の公開ブログなどでお知らせしています。前半はがん治療を受けるうえでのコツを参加者に解説します。後半はライブ中継。相談者の名前や姿は出ませんが、じかに対面して主治医に質問しづらい相談内容について意見を話します。

治療薬の選択や副作用の悩みから、科学的な裏付けのない民間治療に走る患者家族の相談など、内容は実にさまざまです。この春で30回を数えます。動画は編集して後日でも見られるようにしています。

 

――ユーチューブを始めるきっかけは何だったのですか。

当時、宮崎大学病院で腫瘍内科の外来をしていたのですが、とにかく忙しくて手が回らなかった。本来、抗がん剤治療は患者も治療の意味を十分に理解しないとできない医療です。時間が足りないので、週末に患者を集めて説明会を開き始めたのが最初です。2009年ごろかな。患者が治療について知識を深めれば、病院に頼らず自分で微調整して生活と共存させられます。参加した患者同士が体験をアドバイスし合うこともできます。

 

通常の外来でも「この問題については、この動画を見てみてください」と言えるような体制をつくりたいたと思っていました。もともと学会発表で、パソコン作業は職業柄慣れているので始めてみました。最初は反応は少なかったのですが、徐々に手応えが得られるようになりました。

 

がん治療界も、faceboookや動画のような新しいテクニックをもっと活用していくべきだと思います。ピンポイント的なアドバイスはすぐに陳腐化しますが、問題に対処する能力を患者さんに習得してもらうことで、自分で行動する力を養ってもらえれば、双方の時間の節約や貢献にもなります。

最近は、学会でもユーチューバーとして報告することがあります。浮きまくるかなと思っていましたが、意外に座長から「感銘を受けました」と言われたりすることもあります。

 

(引用URL:https://www.asahi.com/articles/ASM4Q7X6LM4QUBQU006.html?iref=pc_ss_date

 

医師が正しい情報を動画で配信することで、患者である私たちも手軽に、そしていつでも情報を把握することができます。医師の人材不足も解消してくれますので、これから先、動画配信は医療業界のスタンダードに変わっていくかもしれませんね。

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