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宇宙旅行が本格的になり始めている現代ですが、宇宙に行くことで健康に影響があるのでは、という気になるニュースがアメリカから報じられています。
神経眼科で話題になっているのが、「宇宙飛行に関連する神経眼症候群(SANS)」という言葉です。まだまだ謎の多い症状ですが、米航空宇宙局(NASA)のブランステッター医師が、とある研究を発表しています。
宇宙飛行士が宇宙から帰還した時点で目に関する調査をすると、両目の視神経乳頭(視神経の始まる部分)が腫れていたのは、検査した68人中10人。丸い眼球の一部が 扁平 (へんぺい)化したり、脈絡膜(眼球の一番外側の膜と網膜の間にある膜)にしわが寄っていたのが53人中12人だったことが明らかになっています。他にも眼底に綿花様白斑(微小な毛細血管の途絶が原因)や出血点がみられた例もあったようです。
この状態が起こった理由として、飛行中に頭蓋内の圧力が高くなって、その圧力が眼球の奥にある両側の視神経に及んだ可能性を第一に指摘しています。この状態は専門用語では「うっ血乳頭」といい、頭蓋内に腫瘍などの余分なものができてしまった場合や、原因不明で髄液の量が増えて圧力が高くなった場合に起き、地球上でも生じる所見です。
しかし、「SANS」の場合、飛行中に頭蓋内の圧力が本当に高くなるのかどうかはわかっていません。帰還後のMRI(磁気共鳴画像)では、脳全体は上に持ち上げられ、脳内の髄液が充満しているスペースである側脳室が大きくなっていることが指摘されており、宇宙飛行の間に生じた重要な身体変化として今後も注目すべきニュースです。
未知の宇宙だからこそ、健康への影響は気になるものです。いつか日常となる宇宙旅行のために、さらに研究が活発になってほしいものですね。
(参考・引用URL:https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20190307-OYTET50019/?catname=column_wakakura-masato)