パーキンソン病の非運動症状に改善傾向

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パーキンソン病の非運動症状に改善傾向
2018/09/04

研究が進み、パーキンソン病の非運動症状がアデノシンA2A受容体拮抗薬イストラデフィリンで改善傾向を示す。パーキンソン病を完全に治す治療法はまだありませんが、薬でうまく治療をしていけば様々な症状をコントロールすることも可能になります。

” 順天堂大学脳神経内科先任准教授の下泰司氏らは、進行期パーキンソン病(PD)患者の非運動症状について検討する1年間の多施設共同前向き観察研究J-FIRSTを実施した。アデノシンA2A受容体拮抗薬イストラデフィリンがさまざまな非運動症状の改善傾向を示したとして、第23回国際パーキンソン病関連疾患学会(IAPRD 2018、8月19~22日、フランス・リヨン)で報告した。

非運動症状のコントロールがより重要な課題に
PD患者は運動症状に加え、自律神経障害、睡眠障害、精神症状、認知機能障害などの非運動症状を呈することが多く、運動症状とともにQOL低下の原因になっている。治療の進歩による生命予後の改善に伴い罹病期間が長くなる中、特に進行期PDにおける非運動症状をいかにコントロールするかがより重要な臨床課題として注目されている。しかし、非運動症状に対する抗PD薬の有効性に関するエビデンスは十分とはいえない。

アデノシンはアデノシンA2A受容体に結合して線条体出力細胞に興奮性に働き運動機能を低下させると考えられているが、さらに睡眠、認知機能などにも関与するため、イストラデフィリンによる非運動症状への有効性の検証が求められている。既に疲労、痛み、姿勢異常に関しては、同薬が有効である可能性を示唆する報告がある。

不安感、無関心、睡眠、痛みなど6項目が改善傾向
J-FIRSTは、PD患者の非運動症状やQOLに影響する因子を明らかにするとともに、イストラデフィリンが非運動症状やQOLに与える影響を検討する目的で行われた。

対象は、L-ドパ投与下でウェアリングオフ現象が認められ、非運動症状を1つ以上有する日本人外来PD患者。全国35医療機関から1,021例が登録され、適格基準を満たした996例を解析対象とした。パーキンソン病統一スケール(MDS-UPDRS)Part I(日常生活における非運動症状)、自記式質問票(PDQ-8)を用いて非運動症状とQOLの推移を52週間にわたって観察した。

996例のうち、試験開始時にイストラデフィリン未治療は768例であった。そのうち試験期間中のイストラデフィリン投与が8週間未満であった36例を除く732例を解析の対象とした。732例中、イストラデフィリンを8週間以上投与する投与群(171例)と、非投与群(561例)に分け、各群の非運動症状をMDS-UPDRS Part Iを用いて評価し、その総スコアと各小項目のスコアの変化を比較した。

試験開始時の患者背景は、投与群では非投与群に比べ、ジスキネジアが高率で、非運動症状の項目数およびL-ドパ換算1日投与量が多く、MDS-UPDRS Part I とPart Ⅳ(運動合併症)のスコアが高かった。

MDS-UPDRS Part Iの総スコアは、投与群、非投与群ともに試験開始時よりもやや増加したが、52週で有意差は認められなかった(0.49±0.41 vs. 0.07±0.15、P=0.36、図)。小項目に関しては、投与群では非投与群に比べ、52週における不安感、無関心、睡眠の問題、痛みと他の感覚異常、排尿の問題、疲労の6項目のスコアの増加が小さい(減少が大きい)傾向が示された。認知障害、幻覚と精神症状については、非投与群の方がスコアの増加が小さかった。ただし、いずれの小項目においても両群間で有意差は認められなかった。

以上の結果から、下氏は「日本において運動症状の日内変動の治療薬として承認されているイストラデフィリンは、運動症状の日内変動を有するPD患者の非運動症状に対して、適切かつ安全な治療選択肢となりうる」と述べた。”

(引用:https://medical-tribune.co.jp/news/2018/0904515611/)

パーキンソン病は、神経伝達物質であるドパミンという物質が減ることによって起こる病気です。ドパミンは、脳において運動の仕組みを調節するような働きを担っているため、手足がふるえる、動きが遅くなる、筋肉が硬くなる、体のバランスが悪くなる、といった運動症状がみられます。また、便秘や頻尿などの自律神経の症状、睡眠障害、うつ症状などの精神症状、認知機能障害などの非運動症状がみられることがわかっています。
一部は遺伝子が原因で発症することが分かっていますが、多くは原因不明で、遺伝することはありません。
現在日本には約15万人の患者さんがいるといわれています。50~65歳に発症することが多く、患者さんは年をとるにしたがい増える傾向にあります。
残念ながらパーキンソン病を完全に治す治療法はまだありませんが、様々な症状をコントロール出来る治療薬の研究も進んでいます。薬でうまく治療していけば今までと同様の生活を送っていただくことも可能です。

 

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