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膨大なデータを分析して答えを導き出す人工知能(AI)。大腸の内視鏡画像から早期がんなどをAIで判定するシステムが、医療機器として国の承認を受け、3月に発売され、医療現場でもAIの活用が始まっています。
大腸にできた病変には、早期がんや、がんになる恐れのある悪性ポリープと、切除の必要がない良性のポリープがあります。内視鏡で映し出した病変の形状などから、医師が悪性か良性かを判断し、必要と判断すれば電気メスなどで切除します。
熟練の医師ならば9割以上の正確さで見分けられるが、経験が浅い医師だと7割程度。システム開発にあたった昭和大横浜市北部病院消化器センター長の工藤 進英(しんせい)さんは「良性のポリープまで無駄に切除している可能性がある」と話しています。
AIに読み込ませた内視鏡画像は、実績のある専門医が診断した約6万枚。内視鏡が病変に接触すると、悪性か良性かを瞬時に判定します。「正答率」は98%に達し、熟練医師と肩を並べます。
工藤さんは「判定から治療までの時間が短縮され、患者も医師も負担が軽くなる」と期待をかけています。他の研究グループも、採取した組織の画像から胃がんを判定するシステムの実用化研究などを進めています。
東京都江戸川区の 目々沢(めめざわ)医院は、AIを活用した問診支援システムを取り入れ、院長の目々沢肇さんは「症状を聞き取ってパソコンに入力する手間が省け、10分以上かかった問診が4分程度になった」と話しています。また、患者からも「待ち時間に入力でき、診察時に同じ説明をしないで済む」などと好評のようです。
さらに、
「今日はどうされましたか?(HOW can I help you today?)」
「I have a headache.(頭痛がします)」
のように、外国人患者と日本人医療者との会話が、タブレット型端末で自動翻訳され、音声で流れるシステムもあります。中国語、韓国語にも対応しており、電話で本物の通訳を呼び出すこともできます。この翻訳システムは今年度前半に発売予定です。
国立情報学研究所医療ビッグデータ研究センター長の佐藤真一さんは「医療現場でAIの活用が広がれば、医師の負担は軽くなり、患者と向き合う時間を充実させられる」と指摘しています。
(引用URL:https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20190408-OYTET50003/)
高齢化社会を迎える日本は、どの医療機関でも長い待ち時間などが問題視されています。こういったAIを活用し、正確な治療の支え、待ち時間の軽減にますます役立ってほしいものですね。